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この記事の結論
即答
30代のEM転向は、いきなりEM求人へ応募するより現職でテックリードを一度経験してから動くほうが近道になりやすい。
「30代でEM(エンジニアリングマネージャー=開発チームの技術と人の両方をまとめる管理職)って、今からでも目指せるのかな…」と気になっている人、けっこう多いですよね。私も取材のたびに聞かれます。実は近道があって、いきなりEM求人に飛び込むより、現職でテックリードを一度くぐってから動くほうが、遠回りに見えて最短だったりします。
求人で見かけるEMの年収レンジは中央値で750〜1,100万円ほど、規模の大きい組織だと1,300万円を超える募集も出ています(あくまで公開求人上の目安です)。ここで気づいてほしいのは、いま求められているのが「コードを書かない管理職」ではないこと。技術判断と人のマネジメント、その両方を持てる人が欲しい——これが市場の本音です。
まずは焦って応募する前に、自分が今どの経験を持っているかの棚卸しから。IT転職の流れをロードマップで確認すると、EMまでの距離が見えやすくなります。
30代でEMが視野に入るのはなぜ?
即答
経験5年を超えると技術力だけで差をつけにくくなり、チームをまとめる役割の引き合いが増えるため。
30代に入ったあたりで、ふとEMという道が頭をよぎる時期があります。経験5年を超えると、技術力だけで差をつけるのがだんだん難しくなってくるからです。同年代のメンバーが3〜5人もいれば、たいてい1人は「次はマネジメント側かな」と考え始めている。そんな空気を感じている人は、きっと少なくないはずです。
背景にあるのは、ミドル層の市場そのものが動いていることです。パーソルキャリアの「2026年 ミドルシニアの転職市場予測レポート」では、IT・通信領域の求人が他業種より伸びると見込まれています(doda(パーソルキャリア)2026年ミドルシニアの転職市場予測レポート)。経験を積んだエンジニアをチームの要として迎えたい会社が増えている、という流れです。レンジの広さを知ったとき、ここまで需要が動いているのかと正直驚きました。
ただ、ここで多くの人がつまずくポイントがあります。EM転向は「年収アップの近道」というより「役割そのものが変わること」だという点です。マネジメントの比率が増えれば、技術を触る時間はどうしても減ります。その代わり、組織の意思決定に効かせられる範囲がぐっと広がる。そこをワクワクと感じるか、寂しいと感じるか。最初の分かれ道は、年収より先にここにあります。
EM転向には3つの型がある?
即答
現職昇格型・転職挟み型・スタートアップ型の3つ。年次とリスク許容度で選ぶのが現実的。
EMへの道を整理すると、現実的には3つの型に分かれます。それぞれ求められる経験も、動くタイミングも違うんです。まず全体像を1枚で押さえてしまいましょう。
- 現職昇格型:テックリードから社内でEMに上がる
- 転職挟み型:別の会社のEMポジションへ移る
- スタートアップ型:小規模チームのEMを兼任で担う
いちばん多いのは、テックリードからそのまま社内でEMに上がる現職昇格型です。組織の事情をわかったまま動けるので、最初の一歩としては安心感があります。一方で、別の会社のEMポジションへ横ずれする転職挟み型は、年収レンジを大きく動かしやすいのが特徴です。提示の幅が変わる場面を何度も見てきました。
シリーズA〜Bの小規模チームでEMを兼任するスタートアップ型は、リスクもリターンもいちばん大きい型です。ストックオプション込みで考える必要があり、気軽には選べません。ざっくりした目安として、30代前半なら現職昇格型を軸に経験を厚くする、30代後半なら転職挟み型のほうが時間をムダにしにくい場面が多い。ここは年齢で線を引くというより、「あと何年、技術寄りでいたいか」で考えると決めやすいです。
EMに必要なスキルと経験は?
即答
3〜5名のチームを技術リードした経験・1on1や評価面談の経験・採用面接の経験、この3点セットが軸になる。
EM求人の要件をいくつも並べてみると、共通して求められる経験が浮かび上がってきます。3〜5名のチームを技術面でリードした経験、1on1や評価面談の経験、採用面接の経験。この3点セットが揃っているかどうかが、最初の関門になります。
採用側がいちばん警戒するのは、マネジメント未経験のまま、タイトルだけで入ってくる人なんですよね。テックリードとEMの境目はあいまいですが、人事評価に関わった経験があるかどうかが分かれ目になります。求人票に「ピープルマネジメント経験」とはっきり書いてあるケースは少なくありません。ここを軽く見ていると、書類でつまずきやすいんです。
つまり、こういうことです。コードが書けることは大前提で、その上に「人とチームに向き合った時間」が乗っているか。ここが見られます。現職で経験できるなら、転職を考える前に年2回の評価サイクルを2周ほど通しておく。それくらいが、ムリのない準備期間の目安になります。自己評価がめんどくさいのは私もよくわかります。でも、その面倒を一度くぐった人ほど、面接で詰まらなくなるんです。
EM求人の年収レンジはどのくらい?
即答
公開求人上の目安で中堅SaaSが750〜950万、大手ITが900〜1,200万、外資テックのSenior EMは1,400万以上の帯もある。
EM求人の年収は、ざっくり3つの帯に分かれています。300〜500人規模の中堅SaaSで750〜950万円、1,000人以上の大手ITで900〜1,200万円、外資系テックのSenior EMで1,400万円以上。ここに得意領域の専門性が乗ると、上下に150万円幅で動くイメージです(いずれも公開求人上の目安で、保証された数字ではありません)。同じEMでも、どの帯にいるかで景色がここまで違うのかと、求人を眺めながら何度も思います。
そもそも30代エンジニアの土台の年収はどのくらいか、というと、doda の調査では30代の平均年収はおおよそ500万円台が中心です(doda 平均年収ランキング(最新版))。EMの帯と並べてみると、役割を一段上げることで動く幅がイメージしやすくなります。数字を語りたいわけではなくて、「いま自分がどこにいて、どこを目指せるか」を掴むために並べてみてほしいんです。
相場感をつかむには、1社だけより2社の併用が近道です。レバテックキャリアは大手SaaSやエンタープライズのEM求人に強く、Greenは中堅Web系やスタートアップのEM求人が豊富です。提示が複数並ぶところまで進めると、自分の現在地がくっきりしてきます。求人の見え方を横並びで確かめたいときは、エージェントごとの強みを比較するのも手です。
現職で経験を積む?それとも転職で踏み出す?
即答
30代前半は現職で評価・採用経験を厚くし、要件が揃ってから転職で踏み出すのがムリの少ない順番。
EM転向でいちばん悩ましいのが、現職で経験を積んでから動くか、転職してEM職で着任するか、という選択です。結論から言うと、まず現職での昇格余地を棚卸しする。これが現実的な最初の一歩になります。
現職に残って経験を積むと、組織の事情をわかったままEMになれる強みがあります。ただ正直なところ、社内昇給だけでレンジを大きく動かすのは簡単ではありません。在籍4年を超えたあたりで「天井が見えてきたな」と感じる人が多い印象です。ここで一度、外の相場と並べてみると、自分の立ち位置が冷静に見えてきます。
転職で踏み出す場合、書類のやりとりから内定までは数ヶ月かかるのが普通です。EM求人は要件が細かくて、面接でも組織設計やピープルマネジメントの実例を具体的に聞かれます。ここで言葉に詰まる人は本当に多いです。だからこそ、現職で「語れる経験」を1つでも増やしてから動く。準備の順番を変えるだけで、面接の手応えはずいぶん変わります。
EM転向で失敗しやすいのはどんな人?
即答
技術力だけで押し切ろうとする人と、肩書きだけ先に欲しがる人。人と向き合った経験が薄いと面接で止まりやすい。
ここはあまり語られないけれど、いちばん大事なところです。EM転向でつまずきやすいのは、技術力だけで押し切ろうとする人と、肩書きだけ先に欲しがる人。この2タイプが、面接でいちばん止まりやすいんです。
理由はシンプルで、EMの仕事の半分は「人がうまく動ける状態をつくること」だからです。設計レビューで正論を通すのと、メンバーが納得して動くのは別物。後者の経験が語れないと、どれだけ技術が強くても「この人にチームを預けて大丈夫かな」と思われてしまいます。ここだけ押さえれば大丈夫、というほど単純ではないけれど、最初に効くのは間違いなくここです。
関連して、退職や異動のときの振る舞いも実は見られています。エンジニアの退職・転職意識をめぐる調査では、退職後にむしろ前職の印象が良くなったと答えた人が76.9%にのぼったという結果もありました(エンジニアの退職・転職意識実態調査(朝日新聞 / PR TIMES))。立つ鳥跡を濁さず、丁寧に引き継いだ人ほど、巡り巡って自分の信頼として返ってくる。EMを目指すなら、いまの現場での振る舞いそのものが、次の評価につながっていきます。
よくある質問
Q. マネジメント未経験でも30代からEMを目指せますか?
A. 目指せますが、まず現職で小さくマネジメントの経験を作るのが現実的です。3〜5名の技術リードや、1on1・採用面接への関与から始めると、求人要件に届きやすくなります。
Q. EMになると年収は上がりますか?
A. 役割が上がる分レンジは広がる傾向がありますが、上がると保証はできません。公開求人上の目安では中堅SaaSで750〜950万、大手ITで900〜1,200万あたりが多い帯です。会社規模と担当範囲で大きく変わります。
Q. テックリードとEMはどう違いますか?
A. テックリードは技術判断の責任が中心で、EMはそこに評価・採用・1on1といった人のマネジメントが加わります。人事評価に関わった経験があるかどうかが、両者の実務的な分かれ目になります。
Q. EM転向のためにエージェントは何社使うのがよいですか?
A. 2社の併用が目安です。大手SaaSに強いエージェントと、中堅Web系・スタートアップに強いエージェントを組み合わせると、求人の母数と相場感の両方を補えます。
次のアクション
IT転職は順番に進めると迷いが減ります。全体像の確認と、自分の市場価値の把握から始めてみてください。
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