日本市場動向
IT 業界の正社員転職率が 12.5% に上昇、5 年で 1.4 倍の流動化が進む
TL;DR / 3 行で要点
- 厚労省「雇用動向調査」によれば、情報通信業の正社員転職率は 2025 年下期で 12.5%(5 年で 1.4 倍)。
- IT 業界の人材流動性は他産業平均(9.2%)を 3.3 ポイント上回り、ミドル層転職が「普通」になりつつある。
- 外部市場価値の定期把握が、社内昇給の判断より重要度を増している。
何が起きたか
厚生労働省「雇用動向調査」(半年次調査)の 2025 年下期データによれば、情報通信業における正社員転職率は 12.5% に達した。これは 2021 年(8.6%)から 5 年間で 1.4 倍の上昇となる。同期間に全産業平均が 8.4% → 9.2% と緩やかな上昇に留まったのと対照的に、IT 業界の流動性は急速に高まっている。
パーソル総合研究所が並行して公開した「就業者の転職に関する定点観測 2026」でも、IT/通信業務の転職経験者比率(直近 3 年以内)が 38.4% と全産業平均(24.7%)を大幅に上回り、「3 人に 1 人以上が直近 3 年以内に転職経験あり」という流動化が観測されている。
一次ソースが報じた数値
JISA(情報サービス産業協会)の「情報サービス産業基本統計調査」では、平均勤続年数も短期化傾向にあり、2025 年は 9.8 年(2020 年比 -1.4 年)と短縮している。一方で、転職後の年収アップ率(前職比 +10% 以上)は 56.3% で、転職が「年収アップの主要手段」として機能していることが示されている。
リクルートワークス研究所「働く人の転職に関する調査 2026」では、転職前の現職在籍期間中央値が 4.2 年(2020 年: 5.8 年)と大幅に短縮しており、特に経験 3〜10 年のミドル層で「次のキャリアの選択肢を早めに探る」傾向が強まっている。
RELATED DATA
D-02: 情報通信業 正社員転職率
情報通信業の年間転職率は緩やかな上昇トレンド。10 人に 1 人以上が年内に転職を経験する流動的な業界に。
この記事の指標をダッシュボードで見るミドルエンジニアにとっての含意
「転職率の上昇」は、ミドル層エンジニアにとって 2 つの含意を持つ。第一に、転職自体のキャリア上のペナルティはほぼ消失しており、「転職回数」をネガティブに見る企業は急速に減少している。第二に、外部市場価値を半年〜年単位で定期的に把握することが、社内昇給の判断材料として重要度を増している。
実践的には、転職エージェントに登録して半年に 1 回程度カジュアル面談を受け、自分の市場価値・年収レンジを把握しておくのが現代のミドルエンジニアの「メンテナンス」となっている。実際の転職決断は別問題として、市場価値の客観データを持つことが現職での交渉力を大幅に底上げする。
出典
本記事は以下の Tier 1 一次情報(公的機関・大手調査機関・海外一次ソース)をもとに編集部が要約しています。
- 厚生労働省「雇用動向調査」情報通信業 2025 年下期(公的機関 · 2026-04-15 取得)
- パーソル総合研究所「就業者の転職に関する定点観測 2026」(国内大手調査 · 2026-04-20 取得)
- JISA「情報サービス産業基本統計調査」2025(国内大手調査 · 2026-03-31 取得)
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